ステレオ→モノラル変換(S→M変換)トランスの使い方
このページはFace Bookのグループ、GEバリレラファンクラブの管理者であられ、
大変お世話になっている塩谷 正人様の問合せに応じ作成しました。
MCカートリッジの場合
MCカートリッジの出力インピーダンスは低く、たいていのマイク入力用トランスを応用できます。
回路図は下記の通りです。一次側にはコイルが分断されているタイプでないとだめです。
600ΩSPLIT:60kΩと書かれていると、1次側は150Ω×2という事になります。
ここで、600Ωの半分は300Ωではなく1/4となる事に注意が必要です。
600ΩCTと書かれたトランスはコイルの中間にも端子が出ていますが、
150Ωと150ΩがつながっておりS→M変換には適しません。
1次側か2次側に600Ω(SPLIT)のトランスは世の中にたくさんあります。
特に1次600Ω:2次も600Ωが多いのですが、MCカートリッジの弱い信号には増幅作用も兼ねて、
2次側は15KΩ以上の物を選択すべきです。
ここで600Ω:60kΩの増幅率は100倍とはならず、10倍です。√(60/0.6)という事。
上のアンプで使用しているのが、TriadのA-12Jです。
蛇足ですが、無線と実験で、佐久間さんがタムラの出力トランスを
MC入力トランスに使ってみた話を書かれていました。(ステレオ→モノラル変換ではありません)
ハムがひどくて使い物にならなかったそうです。
やる前にタムラの技術者に「無理です」と指摘されていたとも白状されています。
微弱な信号を無用に図体の大きなトランスを用いるのは百害あって一利なしのようです。
MMカートリッジの場合
ご承知のとおりMMカートリッジは出力インピーダンスが高く、
これが適したモノラル変換するトランスを見つけるのを困難にしています。
不可能ではありませんが・・・
上はUTCのH-6です。1次15kΩ:2次95kΩSPRITとありますので、
2次側は約25kΩ×2となります。
MMカートリッジの受け側推奨インピーダンスは一般的に47kΩとありますが、
実はMMカートリッジの出力インピーダンスはせいぜい10数kΩだそうです。
ですから、H-6は使い物になると思います。
ただし、H-6だと、トランスをひっくり返して1次約25kΩ:2次15kΩとなって、
半分とはなりませんが、幾分出力は小さくなります。
この程度は真空管イコライザでも簡単に対応できるでしょう。
ところで上の写真でも本体にプリントされた文字に見えますが
UTCのH-6、15kΩ側は4MA DC流せるとあり、
本来の段間トランスとして使ってあげた方が
本領を発揮できて良いように思います。
つまり、
S→M変換用に使うのはもったいない。DCを流せるトランスは貴重です。
これはMMカートリッジのS→M変換に使えるな、と思い買ったTriadです。
スペックは・・・・・・忘れてしまいました(笑
型番からすると、特注品?と思います。軍用かどうかは知りませんが。
インピーダンスの高いMMカートリッジのS→M変換では15kΩ×2(60kΩSPLIT)
以上のインピーダンスを持ち、さらに増幅率を落とさないために
2次側もそこそこ高いインピーダンスを持つトランスを探す必要があり、
トランスによるMMカートリッジのS→M変換への道は狭いです。
モノラルメインアンプのinput用
たいていのCDプレーヤやDAコンバータ出力は
10kΩ以上で受ければ問題ないようにできています。
高級品だと出力インピーダンスが600Ωなんてのもありますね。
それでも10kΩで受けて大丈夫のようです。
私が準備しているのはタムラのTN-347です。
1次50kΩSPLIT、2次100kΩSPLITとなっており
L,Rを1次12.5Ω×2で受け、100kΩだと、2倍以上の増幅作用もあります。
DAC
これは3300円ほどで買ったPCM2704の基板キットを利用したUSB DAコンバータです。
PCM2704からはDCの漏れ電流があるそうで、
コンデンサを介してS→M変換トランスに入力しています。
使用しているのはタムラのA351です。
1次10kΩ:2次40kΩSPLITをひっくり返しています。
これはつまり、1次10kΩ×2:2次10kΩとなり、
残念ですが増幅作用はありません。
C3Gという、3極管接続で40倍程度の増幅率を持つ真空管を使って
信号の増幅はこれに頼りきっています。
PCM2704というDACチップは電圧出力ですが、
電流出力のものもたくさんあります。
トランスは直流を流すと特性が悪化する場合が多いので
直流を流せるトランスを探すか、回路で工夫するかが必要です。
実践したことないので詳しい説明は止めておきます。
それでもよくある600ΩSPLIT、つまり150Ω×2のスペックで十分使えるようで、
PCM2704の場合はトランスの選択枝は広いです。
蛇足になるかもしれませんが、
PCM2704は直接ヘッドフォンを駆動できるそうで
600Ω程度で受ける方もおられます。
電流が多く流れる(負荷が重い)というのは
どうかなぁ、と、私は思っています。
・・・・・・・違いを試したことないのに書いてます(汗
以上